@mastersthesis{oai:niconurs.repo.nii.ac.jp:00001051, author = {北村, 千章}, month = {Sep}, note = {application/pdf, 序論:先天性心疾患は,医療技術の進歩とともに治療成績はめざましく向上しているが,心疾患であるという特性から,依然として急性の変化を起こす生命にかかわる疾患であることに変わりはない.先天性心疾患をもつ子どもは,今後かなりの確率で成人を迎える.先天性心疾患をもつ子どもの病気が重篤であればあるほど,社会で経済的に自立するのが難しいと言われ,先天性心疾患をもつ青年は,社会的成熟が有意に遅れ,その要因として,家族の過保護に起因する依存した生活スタイルと,社会との接触が乏しいことが指摘されている. その子どもを育てている母親は,子どもが思春期になり,子どもを過保護に育ててしまったことに気づき,できるだけ過保護にしないように配慮をしたいという思いを抱くと報告されている.また,母親の過保護なかかわりが原因でドロップアウトすることが極めて多いことも報告されている.こうした多くの要素により子どものアイデンテティの確立が妨げられ,健全な精神的成長が得られない場合が多い. 子どもの自立への葛藤や,親の過保護傾向が子どもの自立に向けて悪影響であるということは報告されているが,重症にもかかわらず,子どもの自立にむけて,母親がどのようにかかわりを持ったらいいのかは報告されていない. 目的:本研究は,重症先天性心疾患をもつ子どもがひとり立ちするまでに育てた母親の子育て体験を記述することを目的とし,たとえ重症の心臓病をもって生まれたとしても,子どもがひとり立ちするためには,母親が,どのように子育てをすることが,子どもの成長や自立につながるのかについて検討することとした. 方法:本研究は,質的記述的研究デザインをとった.データの収集は,A県の心臓病の子どもを守る会に所属する,重症先天性心疾患をもつ子どもを育てた母親5名とした.子どもがひとり立ちできるまでに育てた体験を母親に語ってもらい,ライフストーリー法を参考に,子育てのストーリーを記述した.5名の参加者ごとに導きだされた子育てのストーリーの主題から,「重症先天性心疾患をもつ子どもがひとり立ちできるまでに育てた母親の子育て体験」について抽出し整理した.  結果:研究参加者となった母親からは,それぞれの子育てのストーリーが描かれた. そして,5つの子育てのストーリーには,共通した主題が導き出され,「重症先天性心疾患をもつ子どもがひとり立ちできるまでに育てた母親の子育て体験」には,1.親としての変化,2.転機となる体験,3.手探りで見つけた子育ての方法の3つの局面が描かれていた. 母親の【親として変化】の局面では,<つねに子どもの死と向き合う中での母親の覚悟>ができていくこと,<母親自身が子どもの生きる力に気づく>こと,<子どもの生きる力をみとめる>ことができるようになっていくこと,さらには,母親は子育ての価値感を少しずつ変えながら,子どもの将来に希望をもつようになる<子育ての広がり>へと移行していくことであった.親としての変化は,さまざまな人との<出会い>や,<子どもの成長>の様子を見る事によって引き起こされており,【転機となる体験】が変化を起こす原動力となっていく. 一方で,【親としての変化】と並行して流れていた【手探りで見つけていった子育ての方法】には,<自分を子どもから離すこと>,<子どもに見合った環境を選び,子どもが暮らしていける場づくりをすること><できるだけ普通の生活を送ること><子どもの意思や決定を見守ること>があった. 以上のことから,重症の心臓病をもつ子どもの子育てには,母親が子どもの生きる力を発見できる機会を得ることが重要であることがわかった.そのためには,どこかで母親が変化しなければならない.今後,どのようにその母親への支援ができるのか,また,具体的な子育ての方法を,どのように母親たちと共有していけばいいのかが課題であると言える., 平成23年度修了 新潟県立看護大学大学院看護学研究科 修士課程 領域 母子看護学学位授与年月日:平成23年9月27日}, title = {重症先天性心疾患の子どもがひとり立ちするまでに育てた母親のライフストーリー}, year = {2011}, yomi = {キタムラ, チアキ} }