@mastersthesis{oai:niconurs.repo.nii.ac.jp:00001052, author = {佐藤, 充子}, month = {Mar}, note = {application/pdf, 【目的】近年,日本人の食生活の欧米化や高齢化に伴い前立腺がんの患者は増加の傾向にある.腫瘍マーカーである血清のPSA(Prorstate Specific Antigen:前立腺特異抗原以下,PSAとする)の導入及び前立腺がんの診断の向上により,早期発見が出来るようになり,また,腫瘍条件に応じて,手術療法,放射線療法,内分泌療法,化学療法の治療選択によって予後が良くなり長期生存ができるようになってきている.治療法のなかで内分泌療法は,有効性が高く,侵襲性が低い,外来通院で施行可能なところから,わが国では積極的に行われている.しかし,内分泌療法特有の有害事象があり,身体的,精神的なQOLが低下する可能性に配慮する必要があるといわれている.そこで,本研究では,内分泌療法を受けている前立腺がん患者を対象に,患者が内分泌療法受けることで,どんなことを感じたり,悩んだりしているのか,患者が抱えている体験を明らかにしていく必要性があると考えた.本研究の目的は,内分泌療法による有害事象を抱える前立腺がん患者の体験を明らかにすることとした. 【対象と方法】対象は,内分泌療法のうち最も多く行われているLH-RHagonist制剤(注射薬)の治療を受けている前立腺がん患者で,A病院の外来に通院中であり,研究への参加に同意を得られた患者10名とした.尚,対象者の選択基準としては1)年齢は問わない,再発・転移はない,手術・放射線療法の経験の有無は問わない2)前立腺がん患者,病名の告知されている3)内分泌療法を受けて3年以内の患者4)意識清明で言語によるコミュニケーションが可能な者である. 研究デザインは,質的記述的研究デザインを採用し,データは半構成的面接法を用いて情報を収集した.分析は,言語・形式・行動を含むメッセージを分析対象として考えることとして,データを基にそれぞれ組み込まれた文脈に関して再現可能で,かつ妥当な推論を行うという方法論的特徴をもつkrippendorff,k.の内容分析の手法を参考にし,それに基づいて分析した. 本研究は,新潟県立看護大学倫理員会,対象施設倫理審査委員会の承認を得て実施した. 【結果と考察】対象者の年齢は,60歳代6名,70歳代3名,80歳代1名であった.平均年齢69.8歳(SD7.45歳)であった.職業は会社員1名,農業1名,無職8名であった.ステージ分類はステージⅡ,Ⅲであった.前立腺がんと確定し治療が開始された年数は,面接をした時期として,4か月から3年であった.9名が既婚者であり1名が未婚者であった.有害事象の表れ方として,ホットフラッシュや筋力低下は8名に出現し,勃起障害や体重増加や女性化乳房や体重増加や注射部位のしこりとかゆみは個人差があった. 本研究の結果から,内分泌療法による有害事象を抱える前立腺がん患者は,【不確実な未来への脅威】,【有害事象に伴う身体的変化への不安】,【男性であることへの喪失感】,【有害事象と共存するための努力】,【悩みを抱えての孤立】,【周りに支えられている療養生活】,【自己の生きる信条を持つ】の7つ概念が明らかになり,21の説明概念から形成された. 前立腺がんの予後については,比較的良好とされるが,本研究の対象者は,PSA値に 一喜一憂しながら再発への危惧,死への恐れを抱えながら治療を続けている.これまで体験したことのない有害事象の発現に戸惑い,なかには異様な発汗をがん悪化と捉える患者もいて症状を複雑にとらえる傾向がみられた.勃起障害や女性化する体型変化は男性としての自身や自尊心を低め,一方,がんであることや性に関係する有害事象の悩みは周囲に打ち明けにくく,患者は悩みや引け目を抱えたまま孤立化に向かう.しかし,患者は体験をとおして,発汗に対処したり,治療継続のために有害事象の発症はしかたないと諦めたり,性生活を淡白に受け止めるなど,有害事象のある生活へ折り合いをつける様になる.さらには,治療と療養生活を通して,医師への信頼,周囲の人たちの支援を自覚して人生を前向きに生きる心情をもつに至るといった一連の体験を明らかにすることができた.看護師は本研究で明らかにされた患者の体験を基に,外来支援体制を検討していくことを示唆された.  【結論】 1.内分泌療法による有害事象を抱える前立腺がん患者の体験を表す概念は,【不確実な未来への脅威】,【有害事象に伴う身体的変化への不安】,【男性であることへの喪失感】,【有害事象と共存するための努力】,【悩みを抱えての孤立】,【周りに支えられている療養生活】,【自己の生きる信条を持つ】の7つであった. 2.内分泌療法による有害事象を抱える前立腺がん患者の体験は,有害事象ががんの 悪化症状と結びつけることで複雑なものとして捉える,有害事象は周囲に表現しにくく悩みを抱えたまま孤立へ向かう,患者なりに有害事象への対処しながらがんと共存していく体験であることが明らかとなった. 3.看護師は,外来看護の中で内分泌療法を開始時,外来受診時など患者の気がかりや悩みについて十分に傾聴し相談に対応する必要がある.治療に取り組もうとしている患者や家族の反応を捉えて確認していけるようなシステムづくりをすることが必要である.また,内分泌療法を受ける前立腺がん患者が不安や悩みを自由に語れる場として,がんサロンなどの利用を促すことも看護である, 平成25年度修了 新潟県立看護大学大学院看護学研究科 修士課程 領域: 臨床実践看護学領域 がん看護学 学位授与年月日:平成26年3月14日}, title = {内分泌療法による有害事象を抱える前立腺がん患者の体験}, year = {2014}, yomi = {サトウ, ミツコ} }