@mastersthesis{oai:niconurs.repo.nii.ac.jp:00001053, author = {横川, 史穂子}, month = {Mar}, note = {application/pdf, 目的 がんの治療によるストーマ造設は、自分の身体に対し,ネガティブなイメージを生じるだけでなく,その人の暮らす生活・社会に大きく影響する.そのような状況の中で,ストーマを造設した人々(以下,オストメイトと称する)は,ストーマによる排泄を自分の生活の中に取り込み,新しい生き方に適応していく必要がある.しかし,我が国の研究では,オストメイトが患者会のソーシャルサポートを受けつつ,自らもサポートの資源となり統制力を獲得していく過程について明らかにされていない. 本研究ではオストメイトが患者会のソーシャルサポートによって統制力を獲得するプロセスについて明らかにすることを目的とした.オストメイトの統制力を獲得するプロセスを明らかにすることは,オストメイトの実生活に即した継続看護の一助となる. 対象と研究方法 対象者は,オストメイトの患者会に入会し,現在は再発及び転移がなく,意識が清明で言語によるコミュニケーションが図れる者とした. 本研究はがん治療後にオストメイトが患者会のソーシャルサポートによって統制力を獲得するプロセスを明らかにし,その体験を説明する概念を生み出すことが目的であるため,因子探索の質的研究デザインを用いた.半構成面接法を用いてデータを収集し面接内容を逐語録にした.分析は患者会という限定された場の相互作用によって,人はどのようなプロセスを経て,統制力獲得に至るかを説明することであるため,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた.また,本研究は,新潟県立看護大学倫理審査委員会,調査施設の倫理委員会の承認を得て,その倫理的配慮に従い研究を行った. 結果 本研究の結果から,【予期せぬ苦悩な体験から他のオストメイトへの関心】【患者会のソーシャルサポートにおける相互作用の体験】【コントロール感覚を取り戻し新たな価値観で生きる】の3つのコアカテゴリーが明らかになった.それぞれにカテゴリーの関連性を検討し,オストメイトが患者会のソーシャルサポートによって統制力を獲得するプロセスが明らかになった. 【予期せぬ苦悩な体験から他のオストメイトへの関心】は,がん治療に伴うストーマ造設直後に,[今までの排泄機能を失いストーマを初めて見たときの衝撃・動揺],[医療者に伝えられない自分の辛さ]を抱え,<<当たりまえだった排泄機能の喪失を身に染みて味わう>>体験をしていた.その後,実生活に戻り日常生活の中でも<<気持ちの共有が困難な体験>>をし,<<患者会への関心>>を抱くようになっていった.しかし,一方では自分にとって[患者会の必要性が見いだせず参加に迷う]気持ちも抱えていた.<<患者会への関心>>と[患者会の必要性が見いだせず参加に迷う]気持ちの間で揺れながら,同病者との交流を求めて患者会参加に至っていった. 患者会に参加し【患者会のソーシャルサポートにおける相互作用の体験】では,<<仲間の存在と情緒的な支え合いの実感>>によって,今までの苦悩や孤独感は自分一人だけの体験ではなかったことを知った.また,仲間との交流で[自分の生活改善に活かす仲間の体験談]を聴き,自分の生活の道具として取り込んでいった.<<ストーマで生きる支えとなる仲間からの情報>>は,心の支えにもなっていた.それらは患者会の交流で,情緒的なサポートや道具的なサポート,情報的なサポートといったソーシャルサポートとなり,相互に作用し合っていた.その相互作用は,<<仲間との交流によって引き出される自分への肯定的な評価>>となり,<<迷いを脱しストーマと共に自分の人生を送る>>ようになっていった.患者会におけるソーシャルサポートの相互作用のプロセスの結果,【コントロール感覚を取り戻し新たな価値観で生きる】ことへと向かっていった. また,【患者会のソーシャルサポートにおける相互作用の体験】によって,ストーマ造設直後の医療者への思いも変化させていた.対象者は,【患者会のソーシャルサポートにおける相互作用の体験】を通じて安寧が図られ,[患者会で必要と知覚された医療者のサポート]を患者会の自律的な活動の中で思慮や分別をもって的確に洞察していた. そして,【コントロール感覚を取り戻し新たな価値観で生きる】体験では,がん治療に伴うストーマ造設のさまざまな体験によって,より深く人を思いやり人のために何か行動しようと自己を変容させ,統制力の獲得に至っていた. 考察 【予期せぬ苦悩な体験から他のオストメイトへの関心】の体験では,[今まで感じたことのない孤独感]や<<気持ちの共有が困難な体験>>の動機付けによって,患者会を障害克服に向けた機会と考えたオストメイトたちが,患者会参加の意思決定をしていた.オストメイトの障害克服の主体者としての意識を高める看護として,日々の丁寧なケア・的確な看護技術の提供と看護師の真摯な姿勢,今できていることや労いの思いを伝え信頼関係を強化する必要がある.【患者会のソーシャルサポートにおける相互作用の体験】では,本研究で患者会は情緒的サポート・道具的サポート・情報的サポート・評価的サポート全てが存在するという特徴が明らかになった.それらのソーシャルサポートは日常生活の遂行能力を強化させ,自分の能力に対する肯定的な感情を生み,新たなコントロール感覚を獲得させていた.また,【患者会のソーシャルサポートにおける相互作用の体験】は,オストメイトの自己理解と自己覚知を進歩させ,意識の拡張という,障害を克服し健康という段階へ移行させていた.【コントロール感覚を取り戻し新たな価値観で生きる】体験は,患者会の仲間との相互作用の中で,同病者を支える役割意識を学び,心の豊かさを獲得するにいたっていた.そして[ストーマを造る前とは違う自分の信念]という,新たな価値観を見出していた.看護師は,患者会の効果を理解し,ストーマ造設後のオストメイトが,同病者に関心を示した時期に患者会の正しい情報提供を行う必要がある. 結論 本研究の結果から,【予期せぬ苦悩な体験から他のオストメイトへの関心】【患者会のソーシャルサポートにおける相互作用の体験】【コントロール感覚を取り戻し新たな価値観で生きる】が,オストメイトが患者会のソーシャルサポートによって統制力を獲得するプロセスであることが明らかとなった.また,患者会に参加することとは,仲間との情緒的・道具的・情報的・評価的なサポート全てが受けられる機会であるという,特徴が明らかとなった., 平成25年度修了 新潟県立看護大学大学院看護学研究科 修士課程 領域: 臨床看護学領域 がん看護学 学位授与年月日:平成26年3月14日}, title = {オスメイトが患者会のソーシャルサポートによって統制力を獲得するプロセス}, year = {2014}, yomi = {ヨコカワ, シホコ} }