@mastersthesis{oai:niconurs.repo.nii.ac.jp:00001229, author = {前川, 絵里子}, month = {Mar}, note = {application/pdf, 【研究目的】 本研究は,難病保健を担当する保健所保健師の活動の特徴を,役割認識と遂行に焦点をあて明らかにすることを目的とした. 【研究方法】 本研究は難病を担当する保健所保健師(以下,保健所保健師)の活動の特徴を明らかにする質的研究である.対象者はA県に勤務する保健所保健師で,研究の主旨を説明し同意が得られた11名とした.データ収集は平成29年6月から11月に実施した.調査項目は属性,難病保健を担当する保健師の役割の認識と遂行,難病保健活動に関することを,インタビューガイドをもとに半構造化面接を用いた.KJ法を用い遂語録よりラベル,表札づくりを行い,グループ編成を繰り返した後に図解化,叙述化した.新潟県立看護大学倫理委員会の承認を得て実施した. 【結果】 1.研究参加者の概要 研究参加者11名の保健師の経験年数は平均27.5年(標準偏差4.29),難病保健活動を主に担当した年数は平均9.0年(標準偏差2.86)であった. 2.難病保健を担当する保健所保健師の活動の特徴 保健所保健師は,自分たちの役割について【個別支援が基本であることは変わらない】,【地域ケアシステムの構築は,保健師の変わらない役割】と認識し,個別支援と地域ケアシステム構築をしていた. 保健所保健師は,【社会状況と制度に合わせ役割を果たす】ことを自分たちの役割と認識し,【保健所保健師は広い範囲で活動し,その中で組織として難病保健に取り組む】ことをしていた. その一方で保健所保健師は,新任期保健師に【保健師に役割の見えにくさや力量の差がある】ことを認識し,【難病保健活動の経験と現状を踏まえ,保健師を育成する】ことをしていた. 保健所保健師は,異動がある中で難病保健活動を継続するための活動が必要であると認識し,【難病保健活動の継続性を考える】,【可視化する】,【新たな課題に,同じ目標に向かって関係機関と方向性を合わせる】,【難病保健活動を継続する】ことをしていた. 【考察】 1.患者家族のQOLに向かう活動 難病患者とその家族は,住み慣れた地域で専門医療を受け療養生活を継続できるかなど,個別性の高い課題を抱えやすく,QOL向上のために個別性を考慮した支援が大切である.そのため保健所保健師は,個別支援で患者家族に寄り添い課題を把握し,意思決定支援するとともに,地域の体制整備を行う.患者家族のQOLに向かうために,個別支援と地域ケアシステム構築の両面から活動することは,難病保健を担当する保健所保健師の特徴であると考える.また多職種と役割を重複しながら難病患者家族に関わる中で,難病患者家族や支援者の状況に合わせ全体を見渡し必要な調整を図っている.難病患者の療養生活をより良くするための相談役,調整役の遂行は,難病保健を担当する保健所保健師の活動の特徴と考える. 2.社会状況と制度変化に合わせた活動 保健所保健師が,社会状況と制度変化に合わせて医療,介護,福祉等にまたがる難病患者の療養課題を把握し,これらの療養課題を保健所組織として把握する地域保健の課題と連動させて活動を遂行することは,難病保健を担当する保健所保健師の活動の特徴と考える.また,保健所保健師は,異動のたびに異なる部門や保健分野を担当することになり,継続したスキルアップが困難なことがある.そのため,異動を積み修得したスキルと,見えにくさがある保健師の役割を,新任期保健師や経験の浅い保健師に伝える役割を遂行していることが示唆され,この役割は保健所保健師の活動の特徴と言える. 3.難病保健活動を継続するための活動 異動がある保健所保健師は,患者と家族のニーズを多機関と共有し,患者家族のQOLに向けた難病保健活動を継続していく必要がある.そのため保健所保健師は,異動などにより難病患者家族のQOLに向けた活動が後退することが無いよう,難病保健活動の継続性を考え活動していた. 地域ケアシステムの構築は長期間を要することから,新たな課題の達成に向けて関係機関と方向性を合わせることは,難病保健を担当する保健所保健師の活動の特徴と考える.そして多機関と共有し地域ケアシステム構築への目標がずれずに活動を継続していくための地域課題と施策を可視化する活動は,難病保健を担当する保健所保健師の活動の特徴と考える.また異動してきた保健所保健師が,前任者から受け継いだ課題を更に明確にしながら将来を見据えて活動すること,異動後を見据えた継続性を意図した活動は,難病保健を担当する保健所保健師の特徴と考える.さらに,保健所保健師は,難病保健活動に必要な能力の形成には経験が必要であると認識し,後任者のキャリアラダーに応じた引継ぎや,複数の保健師の任期が重なる中でケアシステムの発展過程を踏まえた難病保健活動の継続性を意図するなど,難病保健活動を継続するための環境整備を行っていることが示唆された. 【結論】  難病保健を担当する保健所保健師は,難病患者家族のQOLに向かうため,個別支援と地域ケアシステム構築の両面からの『患者家族のQOLに向かう活動』,『社会状況と制度変化に合わせた活動』,そして難病保健活動の現状を踏まえ,異動などにより難病患者家族のQOLに向けた活動が後退することが無いよう,『難病保健活動を継続するための活動』を行っていた., 平成29年度修了 新潟県立看護大学大学院看護学研究科 修士課程 領域: 地域生活看護学領域 地域看護学 学位授与年月日: 平成30年3月13日}, title = {難病保健を担当する保健所保健師の活動の特徴 : 役割認識と遂行に焦点をあてて}, year = {2018}, yomi = {マエカワ, エリコ} }