@phdthesis{oai:niconurs.repo.nii.ac.jp:00001339, author = {櫻井, 信人 and Sakurai, Michito}, month = {2023-06-07, 2023-06-07, 2024-03-05}, note = {【目的】 本研究の目的は,自死遺族グループの変容過程を通して,自死遺族が獲得した心的外傷後成長(PTG)を明らかにすることである. 【方法】 実践的研究手法であるミューチュアル・アクションリサーチを参考に研究を実施した.研究対象者は,A県の自死遺族グループの参加者およびスタッフの内,同意の得られた参加者7名,スタッフ1名とした.はじめに研究対象者とパートナーシップを形成した上で,共同で創出した『願い』の実現に向けて対話を繰り返し,自死遺族グループを進めた.活動を通して確認された自死遺族グループの変容を局面として捉え,研究対象者とスタッフの相互作用を含めて検討し,自死遺族グループの変容過程における研究対象者の肯定的な発言や行動に着目してPTGを抽出した. 【結果】 研究期間を通して,自死遺族グループは計15回開催し,自死遺族グループの変容過程として,10の局面が見出された.局面1の【研究への参加同意とパートナーシップ形成】から始まり,局面2では【自死遺族グループに対する『願い』の確認と共有】を行った上で,局面3の【卒業者の体験を共有する機会の設定】をした.そのような中でCOVID-19による蓋然的事態が発生したが,局面4では【研究対象者が協力し合い,自死遺族グループの開催に向けて主体性を育む】機会となり,自死遺族グループとしてのターニングポイントとなった.その後,局面5の【立ち止まり振り返るための停滞】を経て,局面4と同様の事態が生じた局面6では,【研究対象者とスタッフが協力し合い,主体的に自死遺族グループを運営する】ことができ,自死遺族グループとして大きく前進した.局面7では,COVID-19の感染拡大により,自死遺族グループの活動が制限された期間を経て,自死遺族グループの「つどう」場の要素が大きくなるという【つどいの場への進化】が確認され,局面8では悲しみの共有だけでなく,【自死以外の話題による喜びの分かち合いの展開】が見られた.局面9では【『願い』と運営の再確認】を行い,『自死遺族グループを末永く維持していく』ことが全員の『願い』であり,その『願い』に向けて相互協力していくことを確認し共有した.局面9を踏まえて局面10では,【『自死遺族グループを末永く維持していく』という『願い』の実現に向けた自死遺族としての役割の発揮】ができ,研究開始時には見られなかった自死遺族グループとしての大きな変容が確認された. 自死遺族グループの変容過程を通して,研究対象者全員が積極的にグループに関与し,受動的ではなく能動的に関わる変容が見られた.自死遺族グループの中で役割を見つけ,能動的に自死遺族としての役割を遂行し,他の自死遺族を支える側に移行した点は,研究開始時には見られなかった新たな可能性の獲得であり,自死遺族のPTG であった.また,自己を振り返ることによる精神的な変容や,自死遺族同士の結びつきが強まることによる他者との関係の発展,さらに自死を乗り越えて他者を支える人間としての強さも確認された.研究対象者個々により参加の状況は様々であり,PTGの進度は異なったが,自死遺族グループの変容が研究対象者全員に波及し,PTGを促していた. 【考察】 自死遺族グループへ継続的に参加し,気持ちを語りつくした者に対しては,自死遺族グループに関する対話を通して,自己だけでなく他者やグループに意識を拡大することが,自死遺族の更なるPTGにつながると考えられた.そのためにスタッフは,時期を見極めながら支持的に関わり,自死遺族と対等な関係で相互作用に着目しながら自死遺族グループを作り上げていくことが有効である.これまでの自死遺族グループは語りを通して気持ちを整理することが主な目的であったが,継続的に参加をすることでPTGを促進することが本研究により明らかとなった.}, title = {自死遺族グループの変容課程を通して見出された自死遺族の心的外傷後成長}, year = {}, yomi = {サクライ, ミチト} }