@mastersthesis{oai:niconurs.repo.nii.ac.jp:00000029, author = {佐藤, 千春}, month = {Mar}, note = {本研究の目的は,高齢患者の入院初期から,同居する家族がその高齢患者の退院後の介護状態をどのように描いているかを明らかにすることである.質的記述的研究デザインをとり,65歳以上の大腿骨頚部骨折を発症した患者の家族で,患者の入院時点で退院後に在宅での生活を予定する人の研究の参加を依頼した.研究参加者(以下介護者)には入院時,手術後2週経過した時点,及び退院時の3回面接を行い,高齢患者に付き添いながら入院期間中に描いている退院後の介護の状態について自由に語ってもらった.データはすべて逐語録に起こし,複数回読み深め,文章を2から5文程度に区切り,解釈を加えた.文脈単位のまとまりは,類似したものはまとめ,内容をできるだけ端的に表現できるようテーマとして表わした.このテーマは介護者毎に,また面接の時点ごとにそれぞれ行った.それを介護者ごとにまとめ記述した.すべての解釈されたテーマは,さらに入院初期,手術後2週経過時点,退院時点の各時期によってまとめ,各時期に共通してみられる介護状態についてさらに記述を加えた.その解釈および記述の過程を経て,描かれたテーマすべてから,介護状態を描いている構成要素を抽出した.分析されたデータは,解釈および構成要素の抽出に当たり質的データ分析にたけた研究者によってスーパーバイズを受け,その妥当性客観性の確保に努めた. その結果,研究期間中に5名の研究参加者となる介護者が得られた.大腿骨頚部骨折の高齢患者の退院後,介護を担っていく家族が描いていく介護状態は,「自らが介護していく介護対象者の回復予測」,「介護を担っていく自分自身と介護対象者の暮らし」「予測する介護状態にまきこまれていく介護者自身の思い」という3つの領域にわけられた.それぞれの領域には,次のような介護状態を描くテーマがあった.「自らが介護していく介護対象者の回復予測」については入院初期4テーマ,手術後2週経過時点2テーマ,退院時4テーマが記述された.「介護を担っていく自分自身と介護対象者の暮らし」については入院初期1テーマ,手術後2週経過時点3テーマ,退院時3テーマが記述された.そして「予測する介護状態にまきこまれていく介護者自身の思い」は入院初期5テーマ,手術後2週経過時点4テーマ,退院時3テーマがそれぞれ記述された. さらに,これらのテーマの中からすべての介護者に共通する構成要素を抽出したところ回復予測としての「歩行状態」「自立-排泄状態」「介護対象者の認知レベルの変化や不穏の発生」「歩行訓練」「入院期間」があげられ,介護する自分自身と介護対象者との暮らしに関しては「介護対象者と暮らす負担」「介護に向かう覚悟」「サービスの活用」があげられた.さらに介護に巻き込まれていく介護者自身の気持ちには,「繰り返す転倒」「よくなってほしい期待」「介護対象者への愛着」があげられた. 結果から,看護師は,入院初期に不確実な状態に置かれている介護者を理解することが必要であり,言葉として表現されるものだけでなく根底にある不安を軽減できるよう関わることが大切である.その後,入院中に描かれる介護状態は,徐々に具体的になっていくけれども,必ずしも介護状態の映像は明確でないことを踏まえ,状態を描き始めることによって生じる不安や,情報提供についての要望に具体的に応えていくことも必要となる.また退院時には,退院後を想定して起こるさらなる不安を解消できるように介護者とともに解決策を立てていくことが必要になることが示唆された. 本研究によって高齢患者の介護を担う家族が描いた介護状態は,最後まで曖昧さを残している.しかしながらこれが,介護者が入院している高齢患者を見ながら予測できるありのままの映像であり,看護師はその映像を描いている介護者の体験する世界に寄り添って理解し,具体的な退院後の介護状態を示していく必要があると考えられた., 平成22年度修了 新潟県立看護大学大学院看護学研究科 修士課程 地域生活看護学領域老年看護学 学位授与年月日:平成23年3月18日}, title = {高齢患者の家族が入院初期から描いていく退院後の介護状態}, year = {2011}, yomi = {サトウ, チハル} }